日本での本格的な太陽光発電普及は2009年のFIT制度からです。まだたった12年しか経過していません。一方、太陽電池の寿命は30年以上あります。
 世の中で太陽光発電の専門家と語る人の殆どは、ここ10年程度の経験しか持ち合わせていません。これで分かったような蘊蓄を述べるのは時期尚早でしょう。

 私は長らくシャープのソーラー事業本部に勤務していました。シャープは60年前から太陽電池を手掛けており、シャープ太陽電池の歴史は、日本の太陽光発電の歴史とも言えるでしょう。
 この私もこの60年間の歴史を引き継いできました。太陽光発電はシステムです。太陽電池、パワコンや架台などのハード、施工・保守などのソフト、気候や土地柄などの日射条件をトータルで語る必要があると考えます。


やまかず太陽光発電所 所長紹介

略歴

1958年 大阪府河内市(現東大阪市)に生れる。
1977年 大阪府立夕陽ケ丘高等学校卒業
1981年 大阪府立大学工学部機械工学科卒業

シャープ株式会社に32年間勤務後、株式会社サニックスにて取締役を4期勤め、日本たばこ産業に4年勤務後、退職。

保有資格

 

中小企業診断士

(一社)中小企業診断士協会所属

情報処理技術者

プロジェクトマネージヤ
システムアナリスト
システム監査技術者

貸金業務取扱主任者

 

技術士

機械部門(情報・精密機器)

家族

妻、長男、義父
長女は東京へ嫁入り

趣味

ドライブ、オーディオ、音楽を聞くこと(ジャズ、フュージョン)


太陽光発電の基礎知識

 以下を読まれるに当たって、先ずはこちらの記事をお読みください。
 この記事は、CQ出版社の「エレキジャックBASICNo.2」に投稿する際に作成したものです。皆さまの太陽光発電ライフのお役に立てれば幸いです。


太陽光発電の特性1

 2011年3月11日の東日本大震災以降、脱原発が唱えられております。原発の代替エネルギーとして太陽光発電に熱い視線が注がれていますが、果たして、現状の技術レベルやコストで大規模な太陽光発電所は次世代の商用電力源となるのでしょうか。評論家先生に騙されないように、実際に検証してみることが大切です。

 理想の太陽光発電は左のような出力特性になります。これは朝から晩まで雲一つない快晴の実測データです。
 まず、このような理想の日が年間何日あるかです。私の経験では月に2-3日あれば良い方だと思います。
 また、このカーブは現実の商用電力の使われたとはかけ離れています。オフィス・工場・学校など大抵は9時から17時まで一定の電力を必要としますよね。

 一般的な晴れの日はどうなっているのでしょうか。雲が発生し、晴れたり曇ったりを繰り返しています。雲はおおよそ西から東へ流れて行きます。
 太陽電池は半導体でできています。日射量と発電量は比例します。太陽光発電の発電量は左のグラフのように、雲の動きに連動して常に変動しています。
 商用電力として、この変動を防ぐためには、キャパシターや蓄電池が必要となります。

 雨の日や雪の日はどうでしょうか。当然、太陽光からの日射はあまり望めません。
 実際の雨の日のデータが左図です。縦軸のスケールにご注意下さい。晴れの日の5分の1になっています。
 発電電力量は、青いグラフで囲まれた面積になりますが、快晴の日の10分の1程度まで低下します。
 安定的な電力を確保するには蓄電池が必要ですが、当発電所の130W出力に対してトラック用程度の蓄電池が必要で、商用発電所のGW(ギガワット)規模となるとちょっと現実味はありません。


蓄電池の課題

 詳細な説明は蓄電池の専門家に任せるとして、大容量蓄電池の課題はコストと寿命です。例えばリチウムイオン電池の場合、現在の価格は10万円/kWhと言われています。一般に電池の寿命と放電深度は密接な関係があり、仮に放電深度を80%に設定すると蓄電池寿命は4000サイクル、即ち10年くらいの計算になります。
 太陽電池の寿命は半永久的ですが、実際に商用発電所として使う場合には、設計寿命は30年間くらいが妥当ではないかと考えます。すると蓄電池コストは37.5万円/kWhになります。
 勿論、MWクラスやGWクラスの商用発電所では、レドックスフローやフライホイールなど、大容量かつコストの低い蓄電方法が検討されていますが、実現には10年以上の時間が掛かると思います。

 一方、太陽電池価格は年々下がっており、太陽電池・架台・インバーターのシステムコストは30-40万円/kWhではないかと考えます。(2011年現在)
 当所での実験結果からは、雨や雪の悪天候の日の供給能力は除外しても、太陽電池の公称容量の3倍程度の実効容量を持つ蓄電池が無いと、太陽電池のみでの安定した電力供給は望めません。


用地確保の課題

 一般に販売されている太陽電池の発電効率は15-18%程度だと思います。150W-180Wの発電容量で1平方メートルになります。
 原発の容量は1基で1.3GWですから、これを太陽光発電で賄うとすれば8.7平方キロメートルという広大な土地が必要になります。実に3km四方の土地が必要だという計算になります。東京都国立市の全部、或いは宮城県塩竈市の半分程度の面積が必要だということです。

 実際には太陽高度の変化で冬至の日の陰や、メンテナンススペースを加えるともっと広大な面積が必要です。これだけ纏まった陽当りの良い平地の確保と、造成工事には相当の費用が発生します。


結論1

 2012年の技術レベルでは、太陽光発電が商用発電所として、原子力発電や火力発電に置き変わることは不可能です。工場や地域単位で数MW規模の発電所としてはあり得ますが、やはり他所からのバックアップ電力供給なしには存在し得ません。

 一番適切なのは、住宅用途です。数kWhの蓄電池であれば自動車で実用化されていますので、近い将来には比較的コストが安くできる可能性があります。太陽光発電と蓄電池とを上手く組み合わせて、自産自消、即ち「電気を買わない生活」が実現できるかもしれません。
 電気を買わない生活が実現できれば、電力会社が家庭での売電電力や消費電力を調整するためのスマートグリッドやスマートメーターなる設備は要らなくなります。まさに、シンプルイズベストですね。

 その為には、現在実施されている余った電気を買い取る施策*ではなく、政府が金利ゼロで長期間のローンを提供し、電気代の代わりにローンを返して行くような制度が必要ではないかと考えます。蓄電池+太陽電池の導入補助金制度と太陽光発電金融公庫の設立が必要ですね。

 *今の買い取り制度では、買い取り費用は一般電気消費者の電気料金に上乗せ回収します。長期間の運用により電気代の高騰が予測されます。すでにドイツではこの制度が2004年から導入され、現在は破綻しています。こういう年金のようなツケを皆で負担させる制度は導入すべきでないですね。


太陽光発電の特性2

 太陽光発電システムを設置した人が最初の年に感じる疑問が幾つかあります。つい故障だと思ってメーカーに問い合わせる人も少なくありません。一般的に常識だと思い込んでいることが、実は非常識だったりします。その謎を解明します。


 ピーク出力は真夏ではなく、春・秋に記録されます。
 ピーク値は太陽光発電システムのモニター画面に表示される電力表示(W)ですが、この値は当所でも3月に123Wが記録されています。その日の発電グラフは快晴の日ではなく、意外にも左図のような晴れ時々曇りの日です。
 その理由は、太陽電池の温度特性にあります。セル温度が50度上がると20%出力が下がります。太陽電池に太陽光が当たると、大半が熱になり、太陽電池の表面温度を上昇させます。この熱は太陽電池の表面から放熱されます。
 従って、連続的に光が当たるより、瞬間的に当たる方が、瞬間出力としては大きくなります。また気温が高いと放熱が悪くなります。

 季節によって出力特性も違ってきます。これは、日の出・日の入りの時間や太陽高度、気温に左右されます。
 左図は3月のまだ寒い日のグラフです。日の出は7時頃、日の入りは17時頃です。
 特徴的なのは正午を挟んで3時間くらいの間、100Wを越える出力が維持されていることです。この日は696Whの発電量がありました。

 左図は梅雨明けに近い快晴の日です。真夏日で非常に暑い日でした。
 夏至を僅かに過ぎた辺りで、日の出は5時、日の入りは19時くらいとかなり日射時間が長くなっています。
 気温が高いためピーク出力は85W程度しかでません。この日の発電量は686Whで、上記3月初旬と殆ど変りません。意外な結果です。


太陽光発電の特性3

 独立型発電所と系統連係型発電所の違いについて述べます。

 共通点は太陽光という自然エネルギーを利用していますので、発電量はお天道さま任せ、理想と現実のギャップはかなりあります。
 どれくらい発電するのかは立地条件やその年の気候により差が出ますが、奈良県の場合、太陽電池の定格出力(W単位)の約3時間平均分の発電電力量(Wh)が年間を通じた1日当りの発電量です。即ち、年間で太陽電池1W当たり1100Whくらいの発電ができます。
 1日当りの発電電力量(Wh)の振れ巾は、定格出力の7時間分〜ほぼ0までかなり広範囲に振れます。ゼロは稀で台風等で1日中街灯が付くような暗い日です。普通の雨の日であれば0.5時間分程度です。

 また、太陽電池のピーク出力(W)は、南向き設置の場合で、正午前後の3時間くらいの時間帯で定格の85%程度です。10分間程度の短い時間であれば瞬間的に定格をオーバーすることもあります。これは太陽電池の温度特性とメーカー定格表示のマージンによるものです。
 なお、定格表示の条件は、表面温度25℃、1,000W/m2の日射量です。太陽電池は温度に弱く、表面温度が50℃上昇すると20%効率が低下します。(真夏の日中には太陽電池表面は75℃になります。)逆に、気温が下がると有利で、札幌は東京より条件が良くなります。
 ただし、積雪すると発電はゼロになりますので、積雪地域の発電量は期待できません。札幌は設置角度が50度近くあり、パウダースノーで太陽電池に積雪することは殆どありません。逆に、沖縄は気温面で不利ですが、札幌とは日射量が格段に違いますので札幌よりは年間発電量は多くなります。
 日射量と気温のバランスで、日本で一番条件の良いのは静岡だと言われています。

 このように気候に大きく発電量が左右されますので、特定の事象だけみて故障だと早とちりするユーザが多いのも特徴です。少なくとも1年くらいは様子を見てからクレームを言うべき商品です。


系統連系型太陽光発電所

 現在の主流です。太陽電池で発電した電力は系統連係インバーター(パワコンディショナー)を使って、電力会社の電力線に流します。家庭内で使用する分(自家消費)を差し引いて余った電力を電気会社に買取って貰います。この電気はよそのご家庭などで使われます。逆に、夜間は通常通り電力会社から電気を買います。要は系統が無限大の蓄電池の役目をしていると言えます。
 系統連係に厳しい規定があり、その規定に合格したパワーコンディショナーしか使用できませんし、設置には電力会社の許可も必要です。

 原則は自家消費分だけの太陽電池を設置すべきですが、最近は買取り価格が高いため、金銭的に余裕があれば、売電収入を当て込んで、大容量の太陽電池を設置される方が増えています。
 家庭用で7年くらいで設備償却を済ませ、それ以降20年目くらいまで太陽光発電は可能です。13年間はほぼ丸儲けになります。(途中の設備メンテナンスは必要)


独立型太陽光発電所

 当所のように電力会社と切離されて、発電と消費を自己完結で行う発電所です。電力の安定供給と夜間供給のため、蓄電池設備が必須です。
 小規模な発電所では、12Vまたは24Vの低電圧で運用されるものが一般的です。街路灯とか道路標識などです。大規模なものはDC/ACインバーターによりAC100Vで運用されるものもあります。山小屋とか灯台、通信中継設備などがあります。

 運用上難しいのは、太陽電池の定格容量と消費電力量のバランスです。特に夜間電力を必要とする用途では、冬場を基準に設計する必要があります。そうすると、必然的に夏場は電気が余ってくる訳で、定格通り発電せず途中でカットオフされます。
 当所の例では、20Wの庭園灯と10Wのポンプ、6W程度の制御機器を運用するために、266Wの太陽電池と4,800Whの鉛蓄電池を必要としています。なお、Liイオン電池であれば、放電深度を深く取れますので、1/4程度の容量で済みます。


モジュール過積載に注意(2014年記)

 最近、LP社を初めてとして太陽光発電の新参者が、モジュール過積載を推奨しているようです。私は老舗SH社で長年PCS開発業務に携わってきました。プロの意見として、太陽電池モジュールの容量(W)とパワーコンディショナー(PCS)の容量(W)の関係について解説します。

 結論から言えば、PCS容量の1.2-1.3倍程度の太陽電池モジュールなら、何ら問題なく発電します。現実に、住宅用太陽光発電システムでは、そのように設計します。
 しかし、それ以上の過積載では、何らかのトラブルが発生する確率が高く、20年間に亘る品質保証はできない。ということです。

 先ず、PCSの許容入力電圧VinとモジュールのVoc(解放電圧)です。直列に繋いだモジュールのΣVocが、Vinを越えないことが絶対条件となります。これが守れないとPCS内部回路が破壊します。勿論、メーカーの保証対象外です。
 特に日中気温が低い地域では、公称Vocより高くなることもあります。PCSのMPPT動作ではVocを計測しますので、「常に電流が流れているのでVocは無関係」とは言えません。

 更に、力率制限がある地域の場合、無効電力注入動作が必要なため、パワコンは公称出力の80%程度しか入力できません。平たく言えば、パワコンの容量が80%になったと考えて下さい。この場合は過積載は無理です。
 過積載は「パワコン定格出力の1.2倍まで」の根拠ですが、大凡次のように考えて下さい。

  1. モジュール昇温による電圧低下で最大発電時は、公称出力の80%程度しか出力しません。低温時を考えても90%でしょう。

  2. PVケーブルのロスが5%、PVケーブルは6SQ以上のものがベターです。太陽電池の内部抵抗が高いので、ケーブルの電気抵抗が高いと十分な電力を引き出せません。

  3. PCSのロスが5%です。

合計でロスは20-30%あります。120%過積載*(1-0.2)=96%出力です。150%過積載なら120%ですが、パワコンは定格(100%)出力しかできません。20%は捨てることになります。

 販売事業者が、自社製品を売らんが為に、リスクの大きな設置方法をお客様に奨めているのは感心しません。彼らは10年先、20年先まで保証はしてくれません。保証してくれのは、モジュールだけ。それもメーカー押し付けです。
 太陽光発電は、僅かな発電量の違いを云々しても差は微々たるもの。むしろ長期に亘って安定的に稼働することが大切です。騙されないように注意してください。


太陽光発電は主力電源になりうるか(2021.7.11議論再燃)

 小泉環境大臣が、原発をやめて太陽光発電で代替することを提案しています。これについて、見解を述べたいと思います。

 答えは「無理」です。一番分かりやすい理由は、日射量の偏在です。NEDOや産業技術総合研究所、気象庁などが、過去30年間に亘り地域別の日射量の統計を取っています。これを見て分かるように、日射量にはかなりの地域差があります。簡単に言えば日射量=太陽光発電による発電量になります。特に日本海側や北海道など積雪のある地域では、冬場は殆ど発電しません。

 一方、人口密集地はこの逆で太平洋側地域に集まっています。要は人口の密集地域に太陽光発電所を設置しなければならず、用地確保の問題が大きくのし掛かります。従い、日本では大規模な太陽光発電所が設置できる場所は限られます。例えば、瀬戸内市のように、かつて塩田であった土地にメガソーラーを設置していますが、極めて特殊な事例です。
 先に述べたように原発1基分の電力を賄うためには、国立市くらいの面積が必要で、関東平野にはそれほどの空き地はないでしょう。また、山を削っての太陽光発電は、造成費用が高くコスト的には合いませんし、森林伐採はCO2発生と同じ効果になります。本末転倒ですね。
 これが海外だと事情は全く異なり、カリフォルニア州やスペインには広大な砂漠が広がり、快晴の日が多く日射量も日本の2倍もあります。これなら原発の代わりに太陽光発電で電力需要を賄うことができるかもしれません。海外での成功事例はそのままでは、狭い日本では通用しません。

 次に課題となるのは、お天気です。2つあります。そもそも太陽光発電は昼間しか発電しません。また昼間でも、曇りや雨の日は発電量が少なくなります。1日雨が降る日は発電量は1/10以下です。これでは商用の電力としては使えません。現状のようにメインの発電手段があって、数%くらいの太陽光発電なら問題はありませんが、数十%となると必ず蓄電手段が必要です。
 現状、蓄電池の価格はどう安く見積もっても1kWh当たり2万円はします。しかも電力用途では0-100%まで容量を使い切りますので、寿命が4000サイクル=10年間が限界です。1kWの太陽光発電を設置すると1年間の平均では3kWh/日程度ですが、快晴の日は7kWh/日くらいは発電します。(日本での話)半分を夜間のために蓄電するとすれば、3.5kWhの蓄電池が必要な計算になります。費用に換算して10年間で蓄電池に7万円が掛かります。※

 政府が太陽光発電のコストを11円/Kwhと見込んでいる背景は、30年間稼働させるとして、1kW当たりの費用が33万円掛かるとの資産からです。(メガソーラーの場合、メンテナンスやパワコン更新も含む)仮に太陽光発電を原発代替とする場合、ここに蓄電池の費用を加算する必要があります。その費用は30年間で1kW当たり21万円になります。合計費用を電気代に計算し直すと18円/kWhになります。
 どうですか?原発より遥かに高いですね。

 ※実際には、不照日(雨が続く日)を考慮しなければなりませんが、当発電所の過去10年の運用実績から、365日安定して1日400Whの電力供給するには、266Wの太陽電池と、実容量で800Wh程度の電池が必要です。


太陽光発電所の寿命は何年か(2021.08.05)

 2030年のCO2削減目標に向けて、主力電源の議論が活発です。つい先日、太陽光発電は原発より発電コストが安いと経産省が発表し、関係業界から多数の異論が出ました。異論は、不照日(天気の悪い日)や夜間は太陽光発電所が発電しないので、バックアップ電源のコストが高くつくという当然の話を、経産省が念頭に置いていなかったからです。この時の議論は、原発の残り寿命も考慮して、10年程度の寿命を想定していたに違いありません。

 ところが8月に入って、太陽光発電所の寿命を30年とすれば、火力よりも安いという話がまことしやかに議論されています。これに対して筆者は大いに異論があります。シャープの過去50年間の実績では、太陽電池パネルは30年経過しても90%くらいの発電能力はあります。しかし、そのパネルを設置するための構造部材(主に鉄骨構造物)がそこまで寿命がありません。
 一般には溶融亜鉛メッキと呼ばれる鉄塔と同じ材質を使いますが、それが15年程度で腐食し出して性能が維持できなくなります。金に糸目を付けず最高の材料で設置されている灯台ですら、寿命は20年です。一般住宅でも、屋根瓦と太陽電パネルの間には架台が必要で、これも実績として20年以上のものはありません。

 10年前の野建と呼ばれる商用太陽光発電では、コンクリート製の基礎があり、その上に金属製架台がボルトで固定されていました。このやり方だと、純粋に雨による腐食だけで済むので鉄塔と同じく20年くらいは使えます。しかし昨今議論されているようなコストの太陽光発電所は、スクリュー式の金属パイプを地中に打ち込む方法で、コンクリート基礎はなく、直接金属と土が接します。強度的にはアルミでは持たず、鉄に溶融亜鉛メッキを施した物が使用されるので、寿命は精々15年くらいでしょう。

 それなら15年後に架台を新品に交換すれば問題ないと思うかも知れないが、架台を交換するコストは新規に設置するコスト以上に費用が掛かってしまい、結局誰もしないでしょう。
 従い、太陽光発電所の寿命は15年くらいと見るのが妥当です。お役人は業界関係者に騙されやすいのは実践経験が無いからであり、それならいっそう私のようなメーカーOBを顧問に雇うべきです。近年10年程度しか経験のない新参事業者の意見を鵜呑みにするのは相当危険ですね。


地球温暖化防止に向けた提言

 再生可能エネルギーは主力電源に成り得ないことは既に述べました。水力発電や地熱発電はもはや好立地場所は開発し尽くされています。水力は開発に30年掛かり、地熱は温泉に大きな影響を与えます。
 火力発電所の延命を図るための水素やアンモニアの利用は論外です。水素やアンモニアは天然には存在せず、人工的に作り出しますが、その生成過程で大量のエネルギーを消費するので、トータルではCO2をより多く発生させてしまいます。

 原子力発電については、日本は世界でも有数の原発大国であったし、原子力技術も他国に輸出できる程に優れています。今、反対している人こそ風評を撒き散らかしており、正当な理由もなく原発を消そうとしていますが、これは世界の流れとも逆光しています。
 ドイツを例に挙げる人が多いが、ドイツは隣国の原子力発電所から電気を買っています。勿論、隣国もドイツの為にわざわざ原発を建設し稼働させているのです。日本がこのずるい手法を使えないのは、陸続きの隣国が無いからです。

 福島原発は人為的なミスではなく、地震により原子炉に亀裂が入り、冷却水を失い、更に津波によってバックアップ電源も失うなど全くの想定外の事故でした。レベル7と言われる最悪の事故で、炉心溶融という事態に陥りました。
 しかし、これだけの事故を起こしておきながら、放射能被爆で亡くなった人や病気になった人は皆無です。これは世界でも賞賛される出来事です。
 原発周辺地域が帰還困難地域に指定され、自宅に戻れない人が出ていますが、被害はその程度の話で住民の被曝はゼロです。

 今から35年前にロシアのチェルノブイリ原発がレベル7の事故を起こしましたが、放射能が原因で数百人が亡くなり、半径30km以内が立ち入り禁止区域となりました。
 日本との違いは原発の構造と運転技術で、日本の原発のレベルは高いです。福島原発では、今も帰還困難区域があるが徐々に開放されつつあります。
 汚染水の問題でマスコミや漁協は騒ぎ立てていますが、トリチウム自体は自然界にも多く存在し、その濃度も放射能が危険なレベルではなく、一般の原発から排出される量とほぼ同等とも言われています。

 原発事故が起こり人に危害が出る確率は、日常生活で航空事故に遭う確率より遥かに低いです。一度事故が起こると何万人も犠牲になると吹く人がいますが、福島の事故を見ても全く該当していません。しかも反対する人の殆どが、原発30km圏外の住人です。

 原発に反対する人は、原発だけではなく政府のやることに全て反対する輩でしょう。何をどう説明しても、ゼロでない限りは認めないという輩です。そのくせ、原発以外のエネルギー代替策は何も提案できない。要は文句ばかり言って、何も自分で考えたり行動しない人達です。悔しければ、実現可能なコストが合う代替案をお示しください。
 そういう輩の言うことを真に受けて、政府内に原発反対派が居るのは情けない。反対する理由は、単なる票田稼ぎ、支持者を集めるための工作でしかないと思います。

 良く知って欲しいのは、原発周辺住民が原発に本当に反対しているかということです。例えば、博多は玄海原発から半径30km圏内にありますが、大多数の博多の人は原発に反対していません。九電本社前には反対者が常駐していますが、僅か十数名です。麻生副総理も博多(飯塚)の人ですが、彼は原発に反対していないです。

 何事にもリスクはあります。そのリスクを適正に、科学的に評価することが大切です。60年という長い歳月を掛けて培ってきた原発をこのまま無くすには、支払うべき対価が今の日本には高すぎます。高度経済成長期は過ぎ、これからの日本は既存インフラを上手く活用しインフラ費用を節約すべきです。
 原発の全面稼働を前提に将来に向けたエネルギーミックスを再考すべきじゃないでしょうか。


Power to gas

 太陽光発電の電力を使って、水を電気分解して水素を得る。その水素の燃やして電気を得れば、CO2排出はなくなる。電池は放置すると電気が自然放電してしまうので、水素の方が効率が良い?
 →私の感想です。

 ずばり、これ程無駄なことはない。太陽光発電で得た電気は、系統連系で直ぐに使うのが基本です。また、リチウムイオン電池は化学電池ではなく、物理電池なので自然放電が殆どありません。太陽光発電の電気はそのまま蓄電池に貯めて、必要な時に電気を取り出すのが賢いやり方です。

 「水を電気分解するのに必要なエネルギー」≫「水素を燃やして得られるエネルギー」です。
 水素を圧縮してボンベに詰める。重いボンベをトラックで移動させる。これだけでも相当な外部エネルギーが必要です。系統連系なら既存の送電線を使うので輸送エネルギーはゼロです。(厳密に言えば送電ロスはあります)

 水素を電気エネルギーに変える際の変換効率が悪すぎます。直接変換の燃料電池でも70-50%です。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせてたコンバインドサイクル発電でも良くて70%は行かないでしょう。
 化石燃料(重油やLNG)と水素の比較では、単位質量当たりの燃焼エネルギー量は水素の方が2.5-3倍大きいのですが、水素はガスとして使用するため密度が極端に小さく、LNGと比較して3.3倍のガス量が必要です。現在の施設をそのまま使用することはできません。

 忘れないで欲しいのは、トータルでCO2を削減しなければならいことです。基本は「省エネ」であること。その次に発電方法の見直しがあります。水素社会ありきではありません。


2030年の国内新車は全てEV

 2021年の国内に於けるEVの普及率はたったの0.6%です。EVで一番の課題は充電でしょう。皆さんは、充電ステーションがあれば30分くらいで満タンになるとイメージされているでしょう。
 ところが、一般家庭では8-16時間くらい掛かってしまいます。その理由は、家庭内の電源に制約があるからです。EVメーカーが販売している充電器は6kWhが最大ですが、その理由は家庭に引き込める送電線に制約があるからです。
 そもそも30分の急速充電器を家庭で使うには無理があります。第一にあの急速充電器のコストが200万円近くします。第二に急速充電に必要な電力が50kWh以上になると、高圧受電と言ってキュービクルを設置する必要がありますが、それが300万円近くします。なので全く現実味はありません。

 EVの航続距離はカタログで300km近くありますが、走り方にもよりますが実際には半分くらいです。毎日、通勤で片道30kmくらい乗る人には問題ないでしょうが、田舎で車だけが頼りの人には16時間充電が必要になり、1日8時間しか使えないのでは実用に耐えないのではないでしょうか。
 EVは、お買い物や通勤に使うライトユーザか、土日にちょこっと出掛ける人達の道楽道具でしょう。普及するとコンビニやショッピングセンターの急速充電器は間違いなく取り合いですね。


北海道をEV天国に

 新年早々、また馬鹿なことを打ち立てる人が居るもんですね。
 EVはリチウムイオン電池で走ります。ところが、リチウムイオン電池の動作範囲が限られています。一般的には0-40℃が正常動作範囲、この範囲を外れると電池が危険な状態になります。放電すると電池温度が上がるので、EVでは40℃以上になるとクーラーで電池を冷却するのが当たり前です。
 特に、リチウムイオン電池はマイナス温度が苦手で、充放電電流を絞るのが一般的です。家庭用の蓄電池では、メーカーでは寒冷地や朝の冷え込みが厳しい地域での設置は控えるようにしています。

 マイナス気温ではヒーターを付ける手はありますが、ご周知の通り、ヒーターを付けるとEVは極端に走行距離が短くなります。冬の北海道で走らせると、恐らくカタログ値の半分以下になるでしょう。寒冷地とEVは非常に相性が悪いです。


原子力は持続可能と欧州委員会が方針

 欧州の人達が漸く気づいたようだ。脱原発から一転、原子力と天然ガスへとエネルギー政策を転換する。

 何度も主張していますが、CO2削減の切り札は原子力しかない。再生可能エネルギーだけでは賄えないし、エネルギー供給の不安定要素が拭えないのです。原発再稼働は日本にとって、安い電力で経済を急回復させるチャンスだ。日本の強みをもう一度考えてみよう。
 日本には訳も分からず原発に反対する人が多い。科学的根拠もなく、ただ単に100%安全を主張するファシズムのような輩が本当に多い。少数派のために、大多数が犠牲を強いられるのは、民主主義じゃない。

 一番行けないのはマスコミ、扇動してなんぼだから、言いたい放題で、科学的な知見はゼロだ。マスコミに居るのは殆どが文系大学の人達だが、理系のまともな知識のある人達も活躍して欲しい。
 以前に、国立大学改革で文系学部をなくすべきだと言って批判された政治家がいるが、彼は正しい。日本の文系大学は入試は難しいが、4年間殆ど遊んでいる。対して理系大学はよく勉強しないと単位が取れない。この差は大きいよ、遊んでいる輩になぜ国税を使わなければならないのか。
 日本がここ20年、どんどんGDPが下がって、終いには韓国以下の労働賃金になるのは、文系の輩の役立たずの報道や発言が原因に他ならないと感じる。全員中流意識、学校のような平等思想では何も生まれてこない。給料は上がらないし、将来の夢も希望もないなら、国民が不幸になるだけだ。
 観光立国だの、オリンピックだの言ってみて、なんぼの稼ぎになるだよ。CO2排出を騒ぎ立てて、石油開発が中止になって、石油の小売価格が上がって国民は幸せかい?そんな見栄っ張りの格好の良いことだけ考えるような政治は止めろ。もっと現実的かつ地に足の付いた政策を望みたい。


電池交換式EVが本命

 日経クロステックが11月17日に記事にしていたが、中国では電池交換式EVが流行している。仕掛け人は、世界最大の電池メーカーCATLだ。
 電池交換式は日本でも、10年前から日産を中心に検討はされていた。最近では、環境省が実証試験の公募を行っている。日本では電動バイクの電池交換式が、メーカー共通規格で漸くスタートしたところだ。

 電池交換式は、車体の底面から電池をごっそり交換するもので、5分もあれば満タンの電池に交換でき、ガソリン車と変わらないスピードが実現できる。
 課題は交換設備だ。バッテリーが何百キロという重さなので、それなりの交換設備が必要だ。フォークリフトのようなもので移動させる必要がある。もう一つは電池の規格化だ。軽四と普通車、トラックの3種類くらいに集約しないとハンドリングが大変だ。充電には幾ら早くとも数時間は必要だ。

 今のガソリンスタンドとほぼ同等の手軽さで、バッテリーが満タンにできることから、これこそがEVの本命だと見ている。日本も中国の後埃を浴びることなく、経済産業省が中心となって自動車メーカーに標準化を促すべきではないですか?


ATLの思い出

 ATLは、TDKの技術者がスピンアウトして香港・深センで起業したリチウムイオン電池ベンチャーであった。TDKは出資者である。そのATLの電池が大変好評で業績を伸ばしていたのを、当時、福建省の知事であった習近平の目に留まり、福建省福州に誘致を受け巨大工場を作った。TDKが大きくなったATLを買い戻す時に、中国政府との交渉で、自動車用電池部門を独立させCALTが誕生した。

 2019年に任田にあるATLの工場を見学した。巨大な工場は半分に仕切られており、北側がCATL、南側がATLであった。ATLの電池は巻き型ではなく、スタック型で高容量・高性能であることは勿論であるが、製造現場を見て驚いた。
 電極の製造工程は他社とそれほど変わらないが、組み立て工程が全く違う。製造工程毎にコンテナ方式になっており、コンテナを外部で組み立て、それを生産フロアに運び込み、コンベアで連結するユニークな方式をとっている。コンテナ内には製造に必要な機械装置やロボットは勿論、空調機もパッケージされており、コンテナの組み合わせにて、多種多様な電池の製造が可能である。コンテナをプレハブ住宅のように外部で制作できるので、立ち上げが非常に早い。

 昼食をご馳走になったが、驚いたのは鯖の塩焼きが出てきたことだ。聞けば、福建省は陸地が少なく、海に面していることから漁業が盛んで、海の魚を好んで食べるそうである。
 小笠原諸島に珊瑚漁に来ていたのも、ここの地域の人達らしい。今の台湾の人達も、ご先祖はこの地の住民のようだ。中国の一般的な美人は、長身・痩せ型の人が、企業の受付やキャビンアテンダントに多いが、この地はちょっと違っていて、ぽっちゃり型が多い印象である。台湾もそうだと感じる。
 福州には日本からの直行便は1日1便の廈門航空しかないが、これに乗ると成田から4時間で行ける。たまたま廈門航空30周年記念便に乗り合わせたが、機内でビンゴゲームをするなど大盛り上がり、陽気な人達だったことが印象に残る。



ここからは雑談に入ります。


オーディオ談義1

 32年間、自作の窪田式オールFET Non-NFB A級30WアンプでHi-Fi音楽を楽しんできました。2013年春、愛機のプリアンプとCDプレイヤーが相次いで昇天。メーカーにも流石に20年以上の部品在庫は無く修理を断念しました。
 時代は大きく変わり、マルティメデァで映像も音楽も一緒に楽しめます。折角チャンスですから、思い切って全部買い替えました。しかし、単品で20万円も出せば良い音が楽しめる時代ではなくなっていました。特にデジタルアンプは最悪です。納得の行く音を求め、少し古いですが、3-4年前の国産ハイエンド機を購入しました。
 基本の5.1chからスタートですが、スピーカー選択は中々難しいですね。雑誌等で評判のスピーカーには音に色付けする機種が多いです。評論家の意見など全く参考になりませんね。結局、タンノイと同じ同軸スピーカーのKEF Rシリーズに落ち着きました。
 BDで聞くライブミュージックは臨場感一杯で最高です。


機器名

レガシーシステム
2ch Hi-FIオーディオ

新世代システム
5.1ch オーディオビジュアル(AV)

レコードプレイヤー

ヤマハ GT-2000
(LPレコード再生)

同左

ディスクプレイヤー

ヤマハ CDX-2000
(CD再生)

デノン DVD-A1UD
(CD,SACD,DVD,BD再生)

カセットテープデッキ

ティアック V-7000

FMチューナー

ソニー ST-J75


(インターネットラジオへ移行)

ネットワークオーディオ

アップルTV
(i-Tune再生)

コントロールアンプ

ヤマハ C-6

デノン AVP-A1HD

パワーアンプ

自作 A級40W

デノン POA-A1HD

フロントスピーカー

タンノイ System-8

同左

センタースピーカー

KEF R-600c

サブウーハー

KEF R-400b

リアスピーカー

KEF R-100

液晶TV

シャープ LC-37XJ1

シャープ LC-52UD20

HDDレコーダー

パナソニック DMR-E200H

シャープ BD-HDW700


オーディオ談義2

 自宅で使っていたシャープの1ビットAVシステム(5.1ch、定価4万円くらい)を単身住居で使用していましたが、音が余りにもよろしくないので、 消費税が上がる前にスピーカーを買い替えました。KEFのE305というセット物ですが、格段に音が良くなりました。シャープの1ビットはΔΣ変調方式で定評があり、200万円もするHi-Fiアンプもあったのですが、今はもう売っていないです。
 最近のハイレゾオーディオも聞きたいと思い、パソコンからの音楽がオーディオ装置からも聞けるように、ネットワークオーディオプレイヤーなるものも購入しました。e-onkyoからダウンロードした音楽(5.1chDolbyHD24bit/96kHz)も中々いけますね。ネットオーディオは侮れませんよ。

機器名

メーカー 型番

液晶テレビ

シャープ AQUOS LC-40H7

ブルーレイレコーダー

シャープ AQUOSブルーレイ BD-W520

1ビットオーディオアンプ

シャープ SD-AT1000

ネットワークプレイヤー

パイオニア N70

スピーカーシステム

KEF E305


タイムドメイン Yoshi9視聴

 けいはんなプラザのタイムドメイン社の視聴室です。一度は聞いてみたかったスピーカーです。視聴室とは言え、ご覧通り高価なアンプやプレイヤーが無く、これで十分にスピーカーがドライブできるのか甚だ疑問です。
 結論、1.帯域が非常に狭い。 ボーカルは良く出ますが、響く重低音や突き抜ける高音は出ません。2.大変ナチュラルなサウンド、透明度が高い。広がり感も宜しい。3.高価、値段相応ではない。財貨感にも乏しい。


時計談義

 私は特に時計マニアではないのですが、こういうメカ物は好きです。2004年に生産技術本部という部署に居たとき、時計マニアの方が沢山いました。見たことも 無いような格好良い腕時計を着けている人が多く、尋ねてみると自慢げに話をしてくれました。メーカー名などは良く分からなかったのですが、20年使った時計もちょいと草臥れてきたようでしたので、ちょっと張り込んで買ったのがロイヤルオリエントでした。

 2004年、28万円で買った「オリエントのWE0011JA」です。30年ぶりの新設計とかで、職人さんが手作りで1ヶ月以上掛けて1個作ったようです。1年間の限定生産で150個作ったとか。シリアル番号は014番です。
 ヨドバシ梅田には1ヶ月に1個くらい入荷し、30分で売り切れる人気商品だったようです。たまたま入荷直後だったので薦めてくれました。バンドが非常に凝った作りで、隙間が殆どありません。バンド調整に2時間も掛かる複雑さです。
 オーバーホールは2年目無償、7年目に実施しました。でも10年目で、リューズの部分から雨が入り、ガラスが曇ってしまいました。応急処理で分解乾燥して頂きましたが、オーバーホールが必要なようです。

 グランドセイコーのメカニカルSBGJ005です。2014年バーゼルワールドに出品した限定600台生産モデルです。シリアル番号は291番です。
 スケジュール一杯で時間にシビアな仕事をしていますので、腕時計がないととても生活ができません。ちらっと覗きに行った博多大丸で、現物を見た瞬間一目惚れしてしまいました。3個入荷して残り1個でした。
 実用品として少々高かったですが、毎日時計と一緒に暮らしていますので、まあ仕方ないですね。


若手技術者に一言

 理系大学を卒業してメーカーに入っても、実際に製品の設計に携わらない技術者が多い。仕様書だけ書いて、外部の設計会社に業務委託するメーカーが増えている。
 1990年以前にメーカーに入社した人は、自分で設計図面を書いたり、試作品を作って実験したりして製品を作ってきた。だから、設計の勘所を理解している。(これを知見という)だから、外部の設計会社を使っても、設計の精査ができる。しかし、今の若手技術者にはそれができない人が多い。そのため、大手メーカーの設計力が極端に落ちている。

 一番行けないと思うのは、若手技術者がネットに頼っていることである。全部とは言わないが、ネットの技術記事自体がかなり怪しいものが多い。
 大学で理屈を勉強した人が書いていると思われるが、実際に作って実験検証もしたこともない記事や意見が氾濫している。しかも、さもあらんかように偉そうに書いてある。そういう人は身分を明かさず、匿名で記事を書いているケースが多く、ほとんど信用に値しない。ネットだから適当に回答を書いている若者は許しがたい。こういう輩が日本を駄目にする。

 先日も、大手出版社のWebサイトでパワコンに関する誤った記事があった。記事を書いているのは施工技術者だろうと思われるが、パワコンの技術内容を全く理解せず、海外製パワコンを非難していた。おそらく読者は海外製品に悪いイメージだけ持たされたと思う。
 世の中、技術者という言葉の定義が広範囲過ぎるが、現場関係の人のほとんどは技能者である。いわゆる技術製品を扱う人である。本当の技術者とは製品を設計できる人です。

 大学で学んでそれが全てに役立つ訳ではない。むしろ逆だろう。大学は基礎を学ぶところ、メーカーに入ったら優秀な先輩について製品の設計技術を学び取って欲しい。或いは、優秀な他社製品を見て学んで欲しい。更に、自分なりに最新の技術を使ってどう設計するのか考え、それを試作し、現実の製品にして欲しい。
 若者よコンピュータは道具、設計は自ら手を動かさないと始まらない。

   

「プロバイダ責任制限法」に物申す

 SNSを使った匿名者による個人攻撃の被害者(有名人)が自殺するという大きな事件が起きた。
 そもそも同様のことが過去10年以上も前からありがなら、総務省は見て見ぬフリをしてきた。この法律はインターネットを商売とする事業者(サービスプロバイダー)の保護の為に、業界の言いなりで作られた。インターネットを利用した犯罪に対して、その温床となるコンテンツ、インターネット回線やサーバを提供する事業者には責任を負わせないという主旨だ。

 匿名を認めてきたお陰で、個人への誹謗中傷は小学生にまで広がっているし、口コミサイトも同一人物による成りすましで信憑性がなくなっている。物の売買でも匿名が罷り通れば、違法品の売買も止めることができず、そのうちインターネットは犯罪の温床と化すであろう。

 人間性善説にたてばプロバイダーの主張は一見正しくも思えるのだが、「そもそも何の責任も問われ無いなら利用者の好きなようにさせれば良い。その方がアクセス数が増えて儲かる」と考えている事業者やプロバーダーが殆どである。
 仮に、プロバイダーが利益よりモラルを優先するなら、事前に利用規約に明記してから、書き込みを削除したり、サーバを停止したり回線を切断することは、何ら法的には問題ない筈である。
 現実には、被害者がプロバイダーや事業者に申し出ても、この法律を盾に全く応じることはない。それどころが顧問弁護士なるものが出てきて、当局(裁判所など)の開示命令がない限り、応じられないとか伝えてくる。あくまで金儲け優先だ。
 警察に問い合わせをしても、警察官自体がインターネットに無知な人が多く、取り合ってくれない。結局、泣き寝入りする人が大半だ。それが今回の事件に結びついた。

 そのそも匿名だから何でも書き込める。悪いと思っていても何でもできてしまうのだ。仮に匿名ではなく、運営者が被害者に簡単に本名と住所や電話番号を開示すればどうだろう。恐らく誰も悪事は働らかないだろう。

 何の責任も無い甘い商売を許しては行けない。管理ができない運営者はさっさとインターネットから撤退せよ。管理できる会社のみが生き残れば良い。それが現状を打開する最良の対応だ。
 今の憂いべき状態を作り出したのは利用者ではなく、匿名性という罠を仕掛けた「モラルの欠如したプロバイダー(運営者)である」ことを皆さん再認識して欲しい。
 プロバイダーにモラルある管理させるために、ある程度の刑事責任(幇助の罪など)を負わせるのは当然ではないか。逃げ得は許してはならない、直ちに以下のように法改正すべきだ。


私もSNSの被害に遭いました

 サニックスの役員をしていた頃の話です。Yahooに「サニックス株式掲示板」なるものがあり、そこに私の成り済ましが登場したのです。勿論、私はそのSNSのアカウントは持っておりません。そもそも掲示板なるものは嫌いだからです。
 その掲示板では社員と思われる者が多数居て、社内の不満の吐口になっていました。それ以外にも、会社の重要情報をリークした情報があって、インサイダー取引を誘発する可能性もありました。(これは全て後で知った情報)

 ある日突然、そこに投稿しているAという社員から電話があり、一方的に非難の言葉を受けました。電話を取り継いでくれた社員が、電話の後に掲示板のことを教えてくれました。社員間では有名な掲示板だったようです。そのSNSには、私の統括する部門からも社員が参加していたようです。
 人事からも私に問い合わせがありましたが、どうやら複数の幹部社員が成り済ましの被害を受けていたようです。

 会社は顧問弁護士と相談して、Yahooから投稿者の情報開示を求めることにしました。私に協力して欲しいということで、投稿内容の真否について意見書を作成し、顧問弁護士からYahooに申し入れました。ところが、Yahooの弁護士からの回答は「当局の開示命令がなければ、投稿者の情報を開示できない」という主旨でした。

 会社としては納得が行かず、顧問弁護士の勧めもあって、博多署に「会社と私に対する名誉毀損」の被害届を提出しました。
 その後の経緯は、私が退職したので詳しくは知りませんが、人事の方から聞いた話では、Yahooは投稿者の情報開示に応じたそうです。私の成り済ましも社員であったようです。
 その後、サニックスは社内コンプライアンス強化に動いたようです。


SNS利用は人間性悪説に立て

 「SNSを信じる者は、自らを破滅に向かわせる。」これが私からの忠告です。SNSの投稿者は殆どが匿名、自身の個人情報を開示している者は皆無です。匿名とは発言に責任を持たないという宣言のようなものです。
 そのような者の発言を真に受けて、自らの行動を決めるのは全て自己責任です。もっともらしい事が書かれていたり、自信満々で他の投稿者からも評価されていたとしても、誰も何も保証はしてくれません。訴える手段すらない場合もあります。

 例えば、上記掲示板に投稿していた者は、会社と何らかの争いがあったり、会社を懲戒免職同然に退職し、他の犯罪に手を染めて警察のお世話になる者も居ました。要は札付き社員で、社会から阻害され、その憂さ晴らしで投稿を続けていたのです。
 一般のSNSでも、医師でもないのに治療方法のアドバイスをしたり、弁護士でもないのに法律の勝手な解釈を教えたり、デマを流して混乱を誘発したり、モラルハザードを超えるような行動で人々を喜ばせたり、枚挙にいとまがないです。

 そういう輩の発言を信じる方が間違っています。発言は全て悪意を持って投稿されていると考えると、被害に遭うこともないでしょう。


最近の若者の不真面目さに呆れ果てる

 チャットGPTという文書生成AIが、マスコミで話題になっている。最初は、論文の捏造に使われ、その後、入社希望者の志望動機の文書作成などに使用されている。
 要は、若者が自分の頭で文章を考えずに、コンピュータに任せて文章を書かせ、それをさも自分で書いたようなフリをして、堂々と学術論文として提出したり、企業への応募文章として使うのである。
 勿論、専門家が見れば、文章が怪しいことが分かるので、本人に質問してみれば、自分で書いていない嘘がバレるのである。にも関わらず、不正文章の作成に使用する若者が後を経たない。

 どんな手段であれ、論文を提出して合格すれば単位が貰えるとか、志望動機が認められれば面接が受けられるとか、その場しのぎにチャットGPTが使われている。結局は、後でバレて単位を取り消されたり、面接で嘘がバレて合格ができなかったりする。それは、たった1%のチャンスに賭けるという博打思想からくるものであろう。真面目さが足りない。
 特に最近、受験条件や資格条件を曖昧にする傾向があり、本当は入社する資格もないのだけど、何故か門戸が広げられていると勘違いしてしまうような募集が結構多い。

 その背景にあるのは、差別の禁止だ。本当は男性に入社して欲しいのだが・・・、本当は40歳以下に来て欲しいのだが・・・、本当は〇〇大学以上の卒業生に来て欲しいのだが・・・、企業が明確に書けない。
 真に受けて、私も採用してくれると思い込んでいる人が、むやみやたらに受験する。応募が殺到して困るので、自己紹介とか志望動機というハードルを課するのだけど、AIで誤魔化されてしまう。イタチごっこだ。

 学生たちに過度に期待を持たせるが故に、今の若者は大卒であれば、やりたい職業に就けるという勘違いが起きている。
 何かの幸運で、希望の企業に入れることはある。しかし、もともと実力が足りないので、仕事に着いて行けず、敢えなく転職をせざるを得なくなる。

 入社1-2年で転職すると、社会人としてのマナーや教養は勿論、ビジネスの基本も身につかない。そうこうしている内に、闇バイトに手を染めて、犯罪者になってゆく者も少なからずだ。大学さえ卒業すれば・・・、何とか入社さえすれば・・・という甘い考えの若者が増殖しているように思えてならない。

 この問題は学校教育にあると見ている。過度な平等主義だ。民主主義であれ社会主義であれ、社会はピラミッド構造になっている。実力に応じて、ピラミッドを上り続けることができる。いわゆる競争社会だ。努力すれば、それなりに報いられるのが競争社会である。
 しかし、今の義務学校教育は生徒に継続的な努力は求めていない。特に公立学校だ。成績の良し悪しに関わらず、画一的な教育が行われ、競争意識が芽生えない。成績別にクラスを分けるとか、

テストの成績表を廊下に張り出すとか保護者の反対に遭うのでできない。高校や大学にも全員入学できる。学費が必要なら借金もできる。今の教育環境に競争という言葉はどこにも見たらない。

 結果的に、大学卒業という価値は無くなってしまった。次は、論文や入社試験の価値も無くそうとしている。
 何とか誤魔化してでも自分をよく見せようという無駄な努力だけが横行している。見てくれが良ければ・・・、その場が盛り上がれば・・・、一時的にでも大金持てれば・・・というようなその場しのぎの考え方が若者に横行している。

 企業にもそのような側面が感じられる。トヨタ自動車だ。今、レクサスブランドが売れに売れているが、私は消費者騙しの値上げに過ぎないと見ている。第一に品質は同じだ。第二にエンジン変えたら高性能は当たり前、その割にコスパが非常に悪い。店を分けて高級店の雰囲気を出しているが、やっている業務は同じ。
 初代のレクサスLS(セルシオ)は違っていた。既存トヨタ車とは一線を画し、全ての部品を見直し一から専用車を作った。ボルト1本も専用品という徹底ぶりで、品質で世界一になった伝説の自動車である。ただでなくても高品質なトヨタが、それに磨きを掛けたということで話題となったのである。そこには技術者の世界一になりたいという血の滲むような努力があった。
 ところが今のレスサス車はどうか?殆どが既存トヨタ車のキャリーオーバーである。外観が違うとか、エンジンが違うとか差はあるが、買う気がしない。レクサスに1500万円も出すなら、ベンツを買いたいね。要は見せかけだけの高級車に成り下がっているのである。

 日本全体にこのような安直な考え方が蔓延していることが、国民一人当たりGDPを23位まで引き下げる結果になったのではないか。日本人よ、ぬるま湯社会を脱出し、競争社会を取り戻せ!


車談義はこちらに移動しました。


E52エルグランドのウィンカー球LED化はこちらです。



無断転載禁止