各社チャージコントローラー バトルテスト

 我が家のチャージコントローラーは、MPPT(最大出力点追従)方式のJUTA MPPT-10です。MPPT方式で最も安く簡単に入手できる製品です。太陽光発電システムも当初の30Wから130Wまで出力アップしましたので、MPPT-10ではそろそろ限界に来てます。チャージコントローラの買替えを検討するにあたり、市販の代表的なチャージコントローラーの性能をチェックしてみることにしました。

JUTA MPPT-10

 Webショップで1万5千程度で入手できる中国製のMPPTコントローラーです。MPPT方式はスキャン式で、7分に1回、開放電圧から順次電圧を下げて行き、最大出力点を探します。ゆっくりしたスキャンで5ステップくらいで3秒程掛かります。天候急変時などの再スキャンは行っていないようです。
 1年間使ってきましたが、今回、データロガー装置が完成したことで、改めて17日間のテストを実施しました。

試験結果

測定日数:17日間
平均発電量:256.9Wh/日
平均消費電力量:235.3Wh/日
電力効率※:92%
最大蓄電量:172.9Wh/日
最大発電量:473.7Wh/日
総合評価:D
※平均消費電力量/平均発電量

コメント
1.ピーク発電電力は80W以下でありMPPTの効果が感じられない。
2.昼間の消費電力が多いので発電量も多い。この評価は割り引いて考える必要あり。(下記参照)
3.蓄電量が極端に少ない。蓄電池公称容量の約13%しか使わず。充電電圧と放電停止電圧の設定が適切でないと考える。


改造工事

JUTA測定の最終の2日間に以下の改造工事を行った。

A.ロガー+無線LANの電源を、従来は太陽電池負荷としていたが、消費電力が6W近くもあり、庭園灯の点灯時間を長くしたいため、ACアダプターから給電するように変更した。
 測定への影響度:
 負荷が小さいと、天候の良い日は、正午過ぎに蓄電池が満充電になることもある。そのような場合、チャーコンは午後から殆ど発電させないような動きをするため、負荷が重い場合に較べて1日の発電量は少なくなる傾向になる。
 一番効率の良いのは、発電量=消費量となるように動作させることであるのは言うまでもない。

B.太陽電池ケーブルをAWG20からAWG16に変更した。(日中の発熱抑制のため)
 測定への影響度:
 30W太陽電池のみの時はJUTAはVpm=17.5Vに近い17V付近で動作をしていたが、130Wに変更後、15V付近で動作していた。配線変更後のJUTA以降のテストに於いては、MPPTチャーコンは17V近辺で動作していることから、ピーク発電量に影響があるものと考える。
 事実、これ以降、10分間平均のピーク発電量電力値で100Wを越える日がある。ケーブルの太さは重要なファクターであることを心に留めておくべき。

BlueSky SB2512iX

 元祖MPPTチャーコンと言えば米国ブルースカイ社製です。400Wくらいまでの太陽電池ならこの品番が最適です。価格は少々高い目で税抜き38,000円です。ホビー用としてはちょっと手を出せない価格帯です。
 構造は極めてシンプルで屋内のコンセントBOXに埋め込んで使用するように設計されており、配線は基板にダイレクトに行うようになっています。(右下写真) 大胆な作りで如何にもアメリカ製です。今回はバッテリー温度センサも使って見ました。(下写真) 蓄電池の温度により充電電圧を微妙に自動調整します。

MPPTの動作

 特許技術を使っているとかで、トラッキング方式で常に追従動作を行っています。マイコンデジタル制御ですが、見た目はアナログのようなスムーズな動きをしています。
 右の動画は吸収充電時のものですが、日射量が変化すると、動作点をスムーズに移動させていることが良く分かります。

試験結果

測定日数:11日間
平均発電量:315.9Wh/日
平均消費電力量:257.4Wh/日
電力効率※:81%
最大蓄電量:221.5Wh/日
最大発電量:413.0Wh/日
総合評価:B
※平均消費電力量/平均発電量

コメント
1.電力効率は他に較べて悪い。カタログ上のPWM効率とは違って、常時トラッキングによるロスが発生しているのではないかと考える。
2.蓄電量=充電深度はまずまずの設定。バッテリー寿命を考えての設定であるが、充電電圧や放電停止電圧は別売のリモコンで設定変更ができる。
3.天気の良い日は午前中に充電が完了するようで、バッテリーを追加すれば、もう少し発電量が増えると考える。

未来舎 PowerTite PV-1212D1A

 このチャーコンをお使いの方も多いと思います。1万5千円程で販売されている日本製です。液晶表示パネルには様々な情報が表示され、海外製の同等のモノより割安です。
 左下は蓋を明けたところですが、手作りの感がありますが、結構部品が詰まっています。リアクトル類は一切なくDC/DCコンバーターは搭載していません。スイッチングのみで、この辺りが高効率の秘訣かも知れません。下はテストの様子です。

 バルク充電中の様子です。MPPT機能はありませんので、Vpmではなくバッテリー電圧に近い電圧で太陽電池から電力を引き出します。当然ながら、電流はIscに近い電流が流れています。

 吸収充電中の様子です。満充電になると太陽電池を回路から切り離すようです。この間もバッテリーから負荷へ電力が供給され続けていますので、暫くしたら充電モードに入ります。

 フロート充電時の状態です。

試験結果

測定日数:7日間
平均発電量:327.5Wh/日
平均消費電力量:291.5Wh/日
電力効率※:89%
最大蓄電量:233.2Wh/日
最大発電量:428.3Wh/日
総合評価:A
※平均消費電力量/平均発電量

コメント
1.電力効率は意外と良い。ピーク100W越えが頻発し、発電量も多い。
2.蓄電量=充電深度はそこそこあります。バッテリーの充電のさせ方に特徴があります。リモコンを買えば設定変更はできるようです。
3.この機種を見ていると、下手なMPPTは要らないような気がする。

モーニングスター SS-MPPT-15L

 MPPTチャーコンと言えばこちらも有名です。BlueSkyよりは随分と新しい商品です。大変コンパクトに纏めてあります。また結線作業も楽で良く考えられた構造です。ただしお値段が6万円近くしますので、ホビー用としてはパスですね。
 中身はハイテク満載です。チップ部品をふんだんに使った基板は台湾製です。温度センサも内蔵され、バッテリー充電電圧を調整しています。(下写真、モーニングスターは米国) パワー半導体は黒い樹脂で完全にポッティングされています。信頼性は高そうです。(右下写真)

MPPTの様子

 どちらが先かは知りませんが、JUTAに似たスキャン方式のMPPTです。3分に1回スキャンを行います。スキャニングは大変高速で一瞬で終了します。恐らくはチューニング時のロスを最小限にするためだと思います。日射量の急変時にも再スキャンは行わない仕様のようです。

試験結果

測定日数:15日間
平均発電量:240.2Wh/日
平均消費電力量:205.4Wh/日
電力効率※:86%
最大蓄電量:201.4Wh/日
最大発電量:372.0Wh/日
総合評価:C
※平均消費電力量/平均発電量

コメント
1.電力効率は良い。ピーク100W越えが頻発しているが、発電量は今一つ。天候の悪い日が多く、日数を掛けてみたが駄目だった。
2.蓄電量=充電深度は浅い。温度センサが本体に付いており、実際のバッテリー温度との乖離が大きいような気がする。
3.コストパフォーマンスがすごく悪いです。何か使い方を誤っているのかも。

モーニングスター PS30M

 ポピュラーなチャージコントローラーです。今回テストしたのは電菱がOEMしている商品です。本体中央にバッテリー充電電圧補正用の温度センサが搭載されています。
 また、バッテリー電圧・太陽電池電流・負荷電流が逐次表示されるLCD表示を備えています。表示や操作は分かり易い商品です。

 PS30Mの中身です。台湾製の基板で表面実装部品を使っています。欧州安全規格のCEマークが付いている通り、信頼性は高そうです。リアクトル類が一切無くDC/DCコンバーターは搭載していません。基板中央部に温度センサが搭載され、バッテリーの充電電圧補正を行っているようです。これはモーニングスター共通の特徴ですが、太陽電池動作時はチャーコンの温度が上がるため、ここにセンサを付けても余り意味がないと感じます。
 基板を良く観察してみると、一番下の放熱板と基板の接続は、パワートランジスタの足だけで接続されており、スぺーサーらしきものはありますが、基板は完全に浮き上がっています。普通ではちょっと考えられないような設計になっています。

試験結果

測定日数:13日間
平均発電量:220.5Wh/日
平均消費電力量:194.5Wh/日
電力効率※:88%
最大蓄電量:159.8Wh/日
最大発電量:332.9Wh/日
総合評価:E
※平均消費電力量/平均発電量

コメント
 13日間に亘りテストをしました。悪天候の日が続きましたが、晴れの日でも発電量は余り良くありません。加えて、バッテリーの放電深度が浅く、少し物足らない気分です。
 同じメーカー同士の比較では、どうしてもMPPT-15Lの性能が目立ってしまいます。


実測生データー

CC-Test_Data.xls

 上記実験に使用した生ログデーターがダウンロードできます。なお、ご使用に際してはデータの信憑性の保証やご質問へのお答は一切致し兼ねますので、悪しからずご了承下さい。

 お正月明けの8日、大変寒い朝です。水鉢にも薄氷が張りつめています。設置から18ヶ月を経過しましたが、我が家の太陽光発電所は順調に運転を続けております。
 また暖かくなってきましたら、次のテーマに取組むことにしましょう。

JUTA 後継機の決定

 今回のバトルテストで優勝は未来社製でしたが、技術者の私に最も魅力的に映ったのはBlueSky製でした。
 しかし価格が高いのも難点です。いろいろ探した挙句、USAのディラーで日本向けにも出荷してくれる会社が見つかりましたので、直輸入することにしました。
 購入は至って簡単です。必要事項をフォームに記入するだけです。ただし、送料手数料だけは、その場で支払うより「詳細を見積る」を選択した方が良さそうです。支払は色々な方法が選択できますが、PayPal(クレジットカード)を利用し85円/$でした。発注から2週間で届きます。

購入先
infigi

カリフォルニアにある自然エネルギー関係の製品を扱う会社です。

費用内訳

チャージコントローラー本体SB2512iX
購入価格:$199.02
バッテリー温度センサ
購入価格:$29.61
国際郵便+関税:$74.67
通関手数料(配達時支払):700円
合計26,480円でした。
勿論、全てバージンパッケージです。

 ちなみに日本で買うと、総代理店「中央電気」の直販サイトで44,100円(税込み)です。ちょとした英文が読めれば40%節約できることになります。電話など掛かってきませんので英会話は不要です。他のメーカーの物も揃っていますので、購入を検討の方はinfigiに立ち寄られることをお薦めします。
 右写真はSB2512iXのセットアップが完了した制御BOX1です。内側に端子台が有る為、本体はスッキリしていますが、配線に結構手間どります。左下はバッテリー電流を計測するシャント抵抗でIPN-Proに付属しているものです。

IPN-Proリモートコントローラー

 この製品を使うとSB2512iXの各種設定やバッテリー残量の正確な表示ができるようになります。8台までのiXシリーズのチャージコントローラーのリモートコントロールができます。お値段は31,500円と高価です。
 ケースは付属していませんが、市販のコンセントボックスにピッタリと収まるように設計されています。これを使えば学習機能により自動で最適充電を行ってくれるようです。

 右グラフは最新のデータです。様々な改良により、晴れの日は漸く100Wを越える発電量が日常的に記録されるようになりました。消費電力を減らす工夫をしたお陰で午前4時過ぎまで電力が賄えるようにもなりました。(家に人が居る時は植物育成灯は点きません)なお、蓄電量はチャージコントローラーが決めていますが、予定の半分以下しか溜められていないようです。この辺り、終止電圧を調整することで変えられるかも知れません。


 IPN-Proで蓄電池のモニターを始めて1ヶ月を経過、どうやら蓄電池には約200Wh*の電気しか蓄えられないことが判明しました。
 IPN-Proには「充電効率」(蓄電池へ送られた電流量に対し、実際に吸収する事ができた電流量)を測定する機能と、自動的に最適充電状態にする機能が付いています。我が家の場合、98%という高効率が記録されています。
 また、蓄電池容量も表示されますが、天気の良い日には正午過ぎに100%を表示しており、太陽電池の発電能力>昼間の消費電力+蓄電量 となっており、蓄電池容量が不足しております。恐らく、もう1台同容量の蓄電池があれば足りるのではないかと思います。

*正確には蓄電した後、取り出せる電力が200Whです。チャージコントローラーの電力変換効率を仮に90%(公称値は95%であるが、これは280W入力時)とした時、発電量と昼間消費電力の関係から、蓄電池への投入電力量は245Wh程度と推定され、約20%のロスが発生していると思われます。

参考) 一般に蓄電量は蓄電池の公称容量と主に終止電圧(放電を止める電圧)によって決まりますが、終止電圧は10.5V以下になると蓄電池の寿命が極端に短くなり、8V以下になると回復しないとされています。チャージコントローラー自体も待機時に0.35W消費しますので、実際には終止電圧を11Vに設定しています。満充電時の蓄電池電圧は13.8Vになっています。


雪と太陽光発電

 2月11日、前日からの雪が降り積もり朝から外は真っ白、祝日で良かったです。雪国の人には大した事は無いでしょうが、殆ど雪が積もらない奈良県では年に一度あるか無いかです。太陽電池にもしっかり雪が積もって、朝8時を過ぎていますが、全く発電しない状況です。メーターは内側から結露しています。
 天気が回復しても、太陽電池に積もった雪が解けない間は発電を殆どしません。太陽電池は積雪には弱いです。ただし、北海道のようなサラサラ雪の場合では、積雪しない限り、気温が低いので結構発電します。


 残念ながら、WRD3が故障のため、2/4-11日のデータはありません。

 2月14日の昼過ぎからまた降雪、夕方には道路は大渋滞です。夜には雪が治まりますが、翌朝は道路にも少し雪が積もった状態でした。
 降雪の影響で太陽光発電がどのような状態になるのか、右のデータを見て頂ければ判ると思います。橙線が晴天時の予測で、青が実際の発電量です。雪が降り始めると日射量が急激に減ります。15時過ぎには降雪で全く発電しなくなります。翌朝も雪が解けるまで、朝1時間分がロスしています。

蓄電池増強

 今までの蓄電池では天気の良い日はお昼頃に満充電となります。また、想定以下の蓄電量しかないため、蓄電池を一つ増設することにしました。現行と同じタイプの蓄電池を購入しました。

 蓄電池増設日のデータです。14時30分頃に作業を行いましたが、増設直後に急に発電量が増えていることから、太陽電池の発電量は負荷の大きさに依存する事が良く分ると思います。今までは午前中に蓄電池が満タンになり、午後からは浮動充電になっていたと思われます。
 なお、住宅用太陽光発電のような系統連携では負荷は常に接続された状態で、常時、日射量に応じた発電量を示します。

 蓄電池1台の場合と2台の場合の比較です。共に晴天の日です。1台の場合は午後から発電量が急速に落ちて、1日の発電量は417kWhでしたが、2台の場合は午後も日射量応じた発電を続け、この日の発電量は632kWhでした。後半部分のカーブに共通の特徴がありますが、これはチャージコントローラーの特性だと思われます。


やまかず太陽光発電所 紹介ページ

30Wベランダ設置型 太陽光発電システムの製作

噴水ポンプ、庭園灯、植物育成灯の制御基板の製作

100W屋根設置型 太陽光発電システムの製作

リモートモニタリングシステムの製作

LED植物育成灯の製作

LED熱帯魚用灯の製作

蓄電池の大容量化に欠かせない循環電流防止装置

ベランダにフットする2倍電圧システムの製作

進化し続ける循環電流防止装置(理想ダイオード採用)

第11章

リチウムイオン電池の導入

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