24V系システムの導入で電力不足を解消

 独立型太陽光発電システムでは蓄電池が必ず存在します。最近はリチウムイオン電池もありますが価格が非常に高く、まだまだ鉛蓄電池が主役です。そのため独立系システムでは、システム電圧を12Vまたは24Vにするのが一般的です。
 当発電所では負荷をすべてDCで賄っている都合、システム電圧12Vで運用しております。現状の太陽電池の出力は130Wで最大電流は8A近く流れます。太陽電池から制御盤までは約10mありますので、この間の電圧損失は大きく、ちょっとしたスイッチ部の接触抵抗で出力が6割近くに落ちるという経験もしました。一方、毎年12-2月間は日射量の関係から電力不足に陥ることもしばしばあります。
 今までは太陽電池の出力と消費電力のバランスを取ることに注力してきましたが、どうやら綺麗なサインカーブの発電量を得ることと、消費電力のバランスを取ることは相矛盾するようです。今回は思い切って太陽電池を増強することにしました。さて、結果はいかに。

24V用チャージコントローラ

 太陽電池の出力電圧を今までの2倍にすると、同じ容量の電力を半分の電流で送電できます。一般に電力ロスはP=I*I*Rですから同じ送電線を使っても電力のロスは1/4になります。
 市販のシステム電圧24V用の太陽電池モジュールはVpm=36V付近に設定されています。またシステム電圧24V用のチャージコントローラには、降圧チョッパ回路によりシステム電圧12Vに対応できるモデルがあります。今回はBlueSky社のSB3024iLXというチャージコントローラを使いました。

チャージコントローラの並列運転

 2台以上のチャージコントローラを同一の蓄電池につなげるには、出力を一致させる必要があります。BlueSky社製のIPNバッテリーマネジャーを使用することで、2台以上のチャージコントローラの並列運転ができます。ただし、負荷への出力制御はマスター側のチャージコントローラからしかできません。
 今回はSB2512iXをマスターに、SB3024iLXをスレーブに設定して使用します。チャージコントローラ間は2芯の通信線で接続し、IPNバッテリーマネジャーはマスター側に接続します。

太陽電池開閉器

 これまでコネクターやこたつ用手元スイッチなどを使用して太陽電池への接続を開閉してきましたが、メンテナンスの度に開閉する必要があり、確実性と安全性を期するために、しっかりとした開閉器を設置しました。
 今回はPVケーブルも新しい物に取換えています。18V系統が4sq、36V系統が2sqの二重絶縁の屋外用PV専用ケーブルで接続しています。

 前回、自動車用のコネクターを使用して、カシメが甘く大電流のため発熱して危険な状態がありましたので、今回は信頼性の高いFA機器用のスイッチを流用しています。
 接点容量は1回路当たり5Aしかありませんので、2回路並列で使用しております。今回はわざわざ5千円もするカシメ機を購入してしっかりと配線しました。くだらないようですが、こういうポイントを手抜きすると後で手痛い目に遭います。

総合発電電力計

 新設した36V系統の発電電力測定と、従来からの18V系統の発電電力計の合算値を算出表示させるため、新に電力計を製作しております。
 プリント基板や基本回路は従来の電力計と同じものを使用しています。ケースも従来と同じ使用実績のあるものです。表示器は大型LED7セグメント3-1/2を使用しました。

 回路にご興味のある方には設計情報を公開させて頂きます。ご自身で製作される時の参考にして頂ければ幸いです。なお、各資料は無断転載禁止とします。

 ・回路図(PDF)

 ・部品表(PDF)

 上記データをご覧になりたい方はご連絡ください。パスワード(無料)を教えます。

ベランダ用太陽電池モジュールの製作

1.作品コンセプト
 過去、アンテナポール式、屋根簡易設置式を製作してきましたが、正直なところ見た目が余り宜しくないです。そうなった理由は市販の部材を流用したため、設計の自由度が極めて低かったことです。
 今回は多少のお金が掛かっても、他の人が真似したいと思えるような美しい仕上がりの太陽電池モジュールを製作することとし、完全に部材をオリジナルで設計しました。世界でたった一つしかないオンリーワンです。

2.使用した太陽電池
 今回は某太陽電池No.1メーカーが、バス停用に試作した太陽電池の実験が終了し、廃材として捨てられることを知り、それを払い下げて頂きました。
 単結晶の6インチセルを1/4カットして36枚を直列にしたモジュールで1枚で34W程度の出力が取り出せます。それを4枚使用しています。合計で136Wになります。小型太陽電池とは言え、流石に一流メーカーらしく、裏面の端子ボックスにはバイパスダイオード2つと、逆流ダイオードが1つ入った本格的な物です。ケーブルは4sqでコネクターは業界標準のMC3です。

3.取付けアングル兼アルミフレーム
 今回は2mm厚のアルミニューム板を曲げ加工し、アルマイト処理したオリジナルの金具を製作しました。ベランダの手摺り板に引っ掛けるように設置します。風圧で飛ばされないように、手摺りにLアングルで固定します。

以下、写真を使って詳細をご説明します。

オリジナルパーツ一覧

 製作にご興味のある方には設計情報を公開させて頂きます。ご自身で製作される時の参考にして頂ければ幸いです。なお、各資料は無断転載禁止とします。

  • 部品1(PDF)

  • 部品2(PDF)

  • 部品3(PDF)

  • 部品4(PDF)

  • 組立後のモジュール(表面)
    太陽電池サイズは540x540x4.5mm

    組立後のモジュール(裏面)

    組立後のモジュール(側面)

    ジャンクションボックス

    ベランダ手摺り取付け状態
    補強バーをLアングルで手摺りにビス止め

    ベランダ手摺り取付け状態
    左右アングルでベランダ手摺りを跨ぐ

    ベランダから突出したモジュール
    傾斜角30度で南南西に向けています。

    設置後、裏面から撮影
    アングルは意外とごっついです。

    期待通りの美観

     晩秋の朝7時の様子、少し木陰が差しておりますが、設置場所がベランダであり、我慢するしかありませんが、大変美しい仕上がりとなっています。
     台風17号の風速30m/secにもびくともせず、耐久性はそこそこありそうです。

     

    制御盤3(更新)

     今回、機器が増えましたので、制御盤3は一回り大きなプラボックスに変更しました。中身が見えるようにアクリル製の透明な蓋のついた日東工業製のOPK18-35CAを使用しています。
     配線類も更新し、丸端子やY端子でしっかりカシメています。

    計測器用バックアップ蓄電池更新

     補助蓄電池が寿命になり、10分位しか使用できなくなりましたので、小型のシールド蓄電池に更新しました。これでまた暫くは使えそうです。

    システム全体写真

     配線関係を見直して随分とスッキリしました。

    効果検証

     ここから暫く、太陽電池の増設効果の検証を実施します。順次、ご報告したいと考えます。

     18V系統太陽電池は、PVケーブルを4sq品に取換えて、接続スイッチを接点定格10A品に交換したことで、1年ぶりに本来の出力を取戻しました。この日の瞬間出力で定格の92%出力です。12月の気温が8℃の日ですので、問題の無いレベルだと思います。

     総合出力は定格の95%です。上記の18V系統太陽電池の出力効率より高いですが、これは36V系統太陽電池のチャージコントローラ効率が高い事に起因していると思われます。
     2系統の太陽電池による1日当たりの最大発電量は1,222Whで、過去に18V系統太陽電池だけで773.5Whであったことを考慮すると1+1が2にはなっていません。
     その原因ですが、太陽電池の向きが南南西であり、24V系統太陽電池がベランダに付いているため、建物の陰により午前中の発電量が少ない傾向にあります。更に、午後からは、地形的な問題で日の入りが早いことが挙げられます。
     また、午後を過ぎると大抵は蓄電池が吸収充電モードに入りチャージコントローラ側で出力を抑制することも要因です。
     なかなか上手く行かないものですね。


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    30Wベランダ設置型 太陽光発電システムの製作

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