今円
ついに循環電流の尻尾を捕まえた 独立型太陽光発電に限らず、ヨットやキャンピングカーなどで大量の蓄電池を必要とする用途は多いです。蓄電池を並列に繋ぐと「循環電流」という呪縛にとりつかれます。それは電池同士がお互いに電気を食い合い、折角溜めた電気が無くなってしまう不思議な現象です。Webや書籍にこの現象についての説明は沢山ありますが、肝心の解決方法は「電池は並列にしてはいけない」とだけあります。これでは納得が行きません。 |
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循環電流とは 電池を並列に接続した時に電池間を流れる電流を言います。電池の起電力の違いは勿論ですが、内部抵抗の違いも循環電流が流れる原因となります。 |
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実際に起こる現象 当所に於いて2種類の鉛蓄電池を設置して実際に起きたことを説明します。以前より12V105Ahの蓄電池を2台並列で使用した限りでは問題は起きませんでした。ところが、同じメーカーの容量の違う115Ahの蓄電池を並列に使用した直後から様相がおかしくなります。日増しに電圧が低下してついには終止電圧まで下がります。そして殆ど充電されなくなってしまいます。 |
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一般的な対策手段 蓄電池を2台以上使う用途としてはヨットやキャンピングカーがあります。古くからバッテリースイッチという切替器が使われています。要するに無くなったら手動で切替える方法です。 |
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少し考察してみる 充電時に図3の回路が使えるなら、放電時には逆にしてみれば良いかと考えました。 |
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細かな話しは別で説明するとして、おおよそ左図のようなブロック構成で目的が達成できるのではないかと思われます。 |
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主要パーツのスペックを決める1.電流センサの選定 |
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2.オペアンプの選定 |
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3.MOS-FETの選定 |
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4.逆流防止用ダイオードの選定 |
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5.電源モジュールの選定 |
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予備実験 本番設計に先立ち、ブレッドボードを使って基礎的要件の確認を行います。回路確認を行ったのは以下2点です。 注)ブレッドボード状の白い光は負荷用のLED豆球 |
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1.放電状態の再現 |
手前LEDにてFETドライバー状況を表示 |
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2.充電状態の再現 |
手前LEDにてFETドライバー状況を表示 |
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2.平衡状態の再現 |
手前LEDにてFETドライバー状況を表示 |
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仕様・入力4回路(DC12V鉛蓄電池専用) |
循環電流防止装置の製作 予備実験の結果を踏まえ、製作したのが左の作品です。 上記データをご覧になりたい方はご連絡ください。パスワード(無料)を教えます。 |
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カバーには保護フィルムが付いております。 |
今回はタカチ製の市販ケースMBC150611を利用しましたが、穴加工が多い上カバーは井上商事に製作を依頼致しました。 |
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ハンダ前の基板、FETとブリッジダイオードの取付け状態です。半導体の足曲げには細心の注意をして下さい。ラジオペンチ2本で根元にストレスの掛からぬように曲げて下さい。半導体に放熱グリスを塗ってからネジを締めて下さい。ハンダは写真のように組み上がってから最後に行います。 |
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3.中間検査を行います。 |
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4.上カバーに部品を取付けます。 |
BlueSeaのサーキットブレーカーは端子台タイプですが、今回は直接ハンダ付けしますのでネジを外します。事前に端子部エッジにハンダを馴染ませておいて下さい。 |
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5.ケースとカバー間の配線を行います。 |
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6.完成検査を行います。 |
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効果検証構想から約1カ月を経て2011年12月18日に装置が完成*しました。これから数カ月、様々な条件にてテストを行いました。(*この記事を公開したのは、特許出願後の2012年10月6日です。) |
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完成した装置の実装以前サーキットブレーカーがあった位置にピッタリ収まっています。バッテリーチャージャーともスイッチひとつで連動できるようなりました。トグルスイッチは見た目は武骨ですが抜群の操作フィーリングです。 |
システム全体図 440Ahのバッテリーはかなり大掛かりなイメージです。金属ラックの耐荷重150kgはクリアーしていますが。 |
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今回リニューアルしたAC盤です。各制御盤の裏側に位置しています。 |
AC盤に取付けられたバッテリーチャージャーです。スイッチング電源方式で最大充電電流が10Aでもコンパクトです。3段階充電の本格的なもので太陽電池用のチャージコントローラより深く充電されます。 |
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蓄電池電圧を計るのではなく、毎日の発電/消費/充電(発電ー消費)/理論蓄電量(蓄電池の計算上の残容量)をグラフで示しています。 |
改善前1 容量の異なる蓄電池を3台並列接続した例です。3台共にフル充電の状態から接続して時間の経過による変化を現わしています。 |
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ゼロと表示されていても、蓄電池の電力量は完全に無くなる訳ではありません。チャージコントローラにより決められた終止電圧以下になると蓄電池は負荷と切離されます。また回復電圧(>終止電圧)になれば再接続されることで、蓄電池を過放電から保護し、寿命を延ばしています。当所の蓄電池設備では公称容量の約25%程度が実際に使用可能な電力です。これを元に蓄電量を計算しています。(ゼロでも75%は残るが数千サイクル使うには必須の措置です) |
改善前2 仕方なく蓄電池をバッテリーチャージャで補充電して再スタートさせます。 |
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25日〜28日まで夜間電力が不足していますが、これは故意に終止電圧設定を0.5V引上げたことに起因しています。 |
改善後1 最初のテストはかなり厳しいテストです。上記の使用途中(殆どゼロ状態と推測されるSMF31MS-850)の2台に満充電状態のSMF27MS-730を2台を循環電流防止装置を介して接続しました。 |
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改善後2更に検証すべく、GSユアサ製35Ah(20H)の小型ディープサイクルバッテリーと従来からの105Ahバッテリーとの並列試験を実施しました。容量差が3倍とあまりにも大きく、通常は並列にして使用することは無い組合せです。 |
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推定蓄電量※は循環電流が発生しない場合の蓄電池の合計容量であり、発電量<消費量の時は接続時から下がり続けますが、循環電流が発生すると、これ以上に蓄電量が少なくなり、負荷への電力供給が止まる可能性もあります。しかし、ほぼ推定蓄電量まで電力供給が成されており、循環電流は発生していないと言えます。 |
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検証結果 データを比較して戴ければ一定の効果があることは明らかです。3倍の容量差のある蓄電池を2台用いてのテストでも循環電流によるロスは発生していません。 |
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近況報告当サイトも3年が経過しました。最近、Vpmの値が従来の17Vから14V付近に低下しています。出力も設置時の80-70%に落ちています。原因は太陽電池モジュールの劣化だと思われます。1号機(30W3年経過)にはグリッド線に焼けたような跡があります。2号機および3号機には見た目の変化はありません。 |
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最近、中国製モジュールに於いて、封止材であるEVAという樹脂材質の劣化で透過率が下がり、出力が低下し市場問題が発生しているという話しを耳にします。当所もそのような粗悪品を掴まされた可能性を否定できません。メーカー保証は1年間ですから、安いのはそれなりの性能と言えなくはないですが、モジュール価格よりも設置金具や労力の方が掛かっていますので、結局は「安物買いの銭失い」になります。 |
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ブリッジダイオードのVf(順方向電圧降下)の影響が気になる方へ更に電圧降下の小さな理想ダイオード(FET整流)をお試しください。FETのON抵抗(低いもので数mΩ:リレーの接点抵抗と差異なし)のみの損失となります。理想ダイオードを作るには専用の制御ICが必要で、各半導体メーカーから発売されております。使いやすい理想ダイオードのモジュールが各社より発売されていますので、そちらに置き換えると良いでしょう。注)当方で動作確認はしておりません。あくまでスペック調査の結果です。
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お知らせ ご興味のある方には、パスワードを開示しております。こちらからお問い合わせください。 | |||||||||||
特許出願本循環電流防止装置は、Web公開前に特許出願済です。(特願2012-205213)商用でご利用される場合には、十分にご注意下さい。 個人利用はご自身で製作し使用する場合に限り特許侵害にはあたりませんが、自作PCBや試作品を第三者に譲渡する行為は、有償無償にかかわらず特許侵害となります。 |
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特許が成立しました 本特許出願は、2017年1月20日に特許庁により特許登録を受けました。毎年の特許料も納付しております。 従来、蓄電池交換は、全ての蓄電池を一括、かつ全て同型の電池を使用する必要がありました。本特許を活用することで、不良蓄電池のみを部分的に交換することが可能になり、メンテナンスコストを大幅に抑えることができます。
ライセンスにご興味のある企業様は、是非ともご一報ください。特許権の譲渡、使用許諾につき、前向きに検討いたします。 |
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ドクター中松からの出展依頼株式会社ドクター中松創研から、「第35回世界天才会議」への展示依頼がありました。残念ながら、出展料が高くお断りしましたが、当発明が中松博士からも認められ大変栄誉に思います。 | |||||||||||
なぜ電子回路が必要かネットで循環電流防止について、様々なアプローチを見かけます。もっと簡単に実現できる方法はないのか?そう思うわれるお気持ちは察します。以下に素人でも思いつく回路の例と問題点を書いてありますので、ご参考にしてください。 | |||||||||||
Fig1.は電気の知識のある人なら、誰でも思いつく一番簡単な回路です。しかし、この回路には大きな問題があります。チャージコントローラ(CC)に電源が供給されません。 | |||||||||||
CCのバッテリー端子は、自らの電源供給と充電を兼ね備えており、電子回路による高速の充放電の自動切り替え無くして、上手く循環電流は回避できません。 また、本稿のようなやり方で本当に循環電流が防止でき、尚且つバッテリーがまともに使えるのか?と疑問をお持ちの方は、こちらをご参照下さい。 続きは第10章へ | |||||||||||
ご訪問者のご記帳はこちらです。 |
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この記事を参考にして製作される場合、次の点にご注意下さい。 |
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