友人からの依頼 フリーフライト(模型航空)をやている白井さんから、電子デサマを作ってくれないかとの依頼を受け、チャレンジしています。 今回のご依頼は、アクチュエーター(制御対象)としてRC(ラジコン)用サーボモータを使いたいとのことでしたので、RCサーボ用に電子タイマーを制作しました。 この記事を見て自作されるのも良いし、軽量化・小型化・信頼性重視のSMT仕様の本格的な試作品の頒布も予定しておりので、ご興味のある方はどうぞ。 | |||||||||||||||||||||||||
フリーフライト フリーラートは上昇気流の力を借りて、長時間の飛行記録を競う競技です。エンジンやモーターは使いません。機体が軽いので上昇気流に攫われ、機体が回収できないこともあるそうです。 | |||||||||||||||||||||||||
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デサーマル装置略してデサマと言います。写真のように火縄をゴムで巻き付けてあり、時間が経てばゴムが焼け切れます。ゴムは主翼または尾翼の角度調整機構と連動しており、ゴムが焼け切れると、主翼または尾翼が、水平状態から垂直状態になり、揚力が無くなり飛行機は失速(落下)します。 火薬を使うので、動作時間は火薬の配合と火縄の長さなど、経験と勘を頼りにしています。記事を探しても中々お目に掛かれません。 | ||||||||||||||||||||||||
要求スペック白井さんから頂いた要求仕様と実際に出来上がる予定のモノとの比較を示しています。 | |||||||||||||||||||||||||
RCサーボとは一般的にサーボモーターは、モーター軸にエンコーダ(センサー)を組み込んだもので、制御装置(コントローラ)によってエンコーダー情報から軸位置と回転方向、速度を割り出し、モーター電流と合わせPID制御(フィードバック制御)します。とてもではないですが、この小さな機体に搭載できません。 RCサーボはこれとは全く違い、DCモーターを応用したアクチュエータです。モーターのようにクルクルとは回転せず、軸が-90度、0度、+90度の三位置に廻ります。(特殊なものは回転するものもあります)減速機が内臓されており、軸トルクはかなりあり、指で止めるとモーターが回転してまう程です。消費電力も一番小さなサーボでも数百mA食います。 制御方法は規定されており、50Hzの基本クロックで、パルス幅によって制御します。パルス幅が0.5msec,1.45msec,2.4msで3方向に制御されます。サーボ自身にマイコンが搭載され、制御パルス信号を常時監視しています。制御信号は機種にもよりますが、CMOSレベル(3.3V)でも制御可能です。(機種によってはTTLレベル(5V)でないと動作しないものもある)なお、パルス幅はそれほど厳密にしなくとも動作します。 |
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RCサーボの制御回路マイコンで作ると楽ちんです。実は、Arduinoの学習キットで一通りのプログラミングを学習しており、その中でRCサーボも動かしています。ただ汎用ボードは5VのUSB電源で、今回ご要望のあった4.8V電池(NiCdかNMHだと思われる)では駆動できません。また、余りにも簡単で面白くないです。 今回はアナログ回路でやりたいと考えていますので、色々と先人のサイトも拝見致しました。ただ、最近の若者は説明が下手ですね。原理原則ではなく、自分が考案した回路を一生懸命説明しています。なので初心者にはさっぱり分からないでしょう。 クロック発振にはタイマーIC555を使用します。電源変動の影響を受けず、高い精度で安定的な発振が可能です。発振回路は3つあります。回路の基本は555のデータシートに詳しい説明があります。555は多くのメーカーから互換品が出ています。今回は3.3Vで使用するので、CMOS版を使います。 | |||||||||||||||||||||||||
LTSpiceによる事前検討
一つだけ注意点があります。データシートに小さな字で注意書きがあるのですが、「トリガー信号」はパルス信号より短くてはなりません。即ち、50Hzの矩形波(パルス幅10msec)をそのままトリガーにしても、0.5-2.4msecのパルス信号は出てこず、50Hz信号が出るだけです。 波形は、緑がU1からのトリガー信号、青がU2からの0.5msec幅パルス出力、赤がU3からの2.4msecパルス出力です。これで何とかRCサーボは制御できそうです。 |
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タイマー部の回路 タイマーはIC555を使ったワンショット(単安定回路)です。分単位での動作、かつトリマー抵抗の値にも制限があることから、C=1000μFとして、抵抗値を決めています。(数MΩのトリマー抵抗があれば、コンデンサは100μFが使え随分と小型化できるのですが) IC555からの出力を反転させるためトランジスター回路を入れています。タイマーの出力と反転出力で、フォトリレーを駆動しています。フォトリレーによって、パルスを切り替える設計です。 事前のブレッドボードでの実験では、安定化電源がないとRCサーボの影響をもろに受けて、サーボがプルプルと不安定な状態になることが確認されています。 出来上がったブレッドボード用の回路図はこちらです。 | |||||||||||||||||||||||||
ブレッドボードによる試作回路図を基にDIPサイズの部品を使って試作をしてみました。赤いボタンがリセットスイッチ、緑のボタンがタイマースイッチです。設定は1分にしてあります。RCサーボの動きに注目してください。 動作確認は終わりました。ご覧の通り、これではフリーフライトの機体には載りませんね。これから小型化のためにSMT(表面実装機)対応の部品に変更します。 | |||||||||||||||||||||||||
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KiCADによる基板設計小型化に向けて部品を変更します。出力は基板用のオムロン製のワンタッチコネクターを使用します。このコネクターはハーネス(配線)の被覆を向いて差し込むだけで接続できます。ハーネス長はお客様で自由に調整できます。ここに電池とRCサーボを接続します。 コネクターと調整用のトリマー抵抗4個、押しボタンスイッチ2個を除いて、全て表面実装部品を使用します。IC555はTLC556という2個入りタイプに変更しています。トランジスターもデジトラアレイを使って1個に集約しました。 回路図はこちらにあります。 現在、FUSION PCBに見積中ですが、完成予想図の3D_CAD図は下図になります。 | |||||||||||||||||||||||||
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試作基板 基板データ(ガーバー、ドリル図、部品リスト)が完成し、FUSION PCBに見積依頼中です。予定では、10枚試作して$350程度の予定です。送料込みで@4,000円程度になる見込みです。20枚の場合はさらに安くなります。10枚希望者が集まれば試作を開始する予定です。 | |||||||||||||||||||||||||
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試作基板頒布のお知らせ価格が決まりましたら、お知らせします。 | |||||||||||||||||||||||||
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